本の紹介
2020年初春、大学卒業をまじかに控えていた私は漠然とした不安を抱えていた。
大学を出たら、自分はどんな道を歩むことになるのだろうか。
今までは教育という決められたレールの上を歩いてきた。そして遂にターミナル駅に着こうとしているが、少し遠くから眺めるとそこは田舎の無人駅のようで、出迎えてくれる人は誰もいない。
レールはその駅を境に途切れ、遥か彼方まで途方もないステップの地平線が続いている。
そんな光景を見た時、人はだれしも不安になるだろう。
私にとって、社会人の門出というのはそんな感じだった。
何か指針が欲しい。
そんな時、おもむろに入った本屋でこの本を見つけた。
『2030年の世界地図帳』
著、落合陽一
刊行、2019年
今から3年前に書かれた本で、その執筆段階ではコロナを経験していない。
正真正銘、コロナ前の本だ。
それを受けて、コロナ前のものは古いという意見もあるだろうが、この本のテーマは、「未来を俯瞰すること」だ。
今の私たちは、コロナというバイアスに支配されている。何事もコロナ抜きでは考えられなくなっているわけだ。
それはそれで、不都合だと言える。
コロナ禍もいつか終わる。
しかし、ダウ平均株価が最高値を更新して投資が話題になったが、そのあと下落局面が続いて米国株オワコンと叫ばれている今のように、人は流行に影響される生き物だ。
それは時として誤った判断を下してしまうことにもなってしまう。
つまり、冷静に未来を歩む指針は、今も必要ということだ。
そして、この未来のもう一つのテーマは「2030年」だ。
団塊の世代の高齢化や環境問題などなど、日本や世界に圧し掛かる問題は山積している。
その影響は既に顕れており、被害を最小限に抑えるべく行動しなければならないリミットが2030年ということだと私は考えている。
3年前とはいえ、この本が扱っている話はまだ先のことだ。
2019年当時、著者の落合さんが何を考えていたか。
落合さんと言えば、目のクマがはっきり表れるほど活動的で元気を使い切っている人で、かなりの切れ者だと認識しているが、その落合さんの当時の考え方は、指針の一つになるのだろうか。
それを見極めるには、まずこの本の内容を見て考えることが必要だ。
自分なりにアウトプットしたうえで、改めてこの本を紹介したいと思う。