テーマ:2030年の未来について考える
手段 :テクノロジーと人口をもとに世界の展望を洞察する
破壊的テクノロジー
説明
1995年に経営学者のクリステンセンらが発表した概念で、それまでの価値観や社会の在り方を劇的に変化させる技術のこと
例:スマートフォン
テクノロジーの動向を概観する指標
①ハイプ・サイクル(ガートナー社が毎年発表している)
技術の成熟度、採用度、社会への適用度などを定点観測し、今後5~10年間の普及プロセスをグラフ化したもの
黎明期:革新的な技術が生まれ、注目され始める時期
「過度な期待」のピーク期:その技術への期待が膨らむ時期
幻滅期:実際に採用され「期待通りではない」ことも見つかる時期
啓蒙活動期:その技術の利点を承知の上で採用され、具体的な事例により理解が広がる時期
生産性の安定期:主流の採用が始まる時期
②5 in 5(IBM社が毎年発表している)
5年以内に世界を変える5つのテクノロジーという意味で、10年間を予想するハイプ・サイクルより射程は短いものの、世界トップレベルの研究開発部門を持つIBMの予測として、より具体的な事例が挙げられているのが特徴
2022年の5 in 5
③政府が推進している科学技術プロジェクト
中国・米国・印度の3強時代
根拠
人口・GDP共に成長し続け、他国を凌駕すると予想されている。
4つのデジタル・イデオロギー
アメリカン・デジタル
インターネット発祥の地であるアメリカを中心に発展したイデオロギー。特に米国西海岸のシリコンバレーのIT企業群が自由を求めてコンピュータを発展させた。
成功した起業家は投資家に転身してスタートアップ企業に資金を流し込むというエコシステムが循環しており、アメリカン・デジタルの衰退は見えない。
チャイニーズ・デジタル
アメリカン・デジタルと双璧をなす。
中国のインターネットは国家の強力な情報統制下にあり、国家に庇護された市場の中で急成長を遂げたBATHによって、GAFAMとは別種の生態系が築かれている。
国家の力を後ろ盾にした資金の循環は製造業の躍進を支え、ハードウェアの技術力では世界トップに立つ分野も出てきた。ソフトウェアの分野においても、AIを駆使したイノベーションを次々と生み出している。
ただし、国家の管理が強く管理変動相場制をとっているため、株式や通貨の実態価値を正しく判断できないというリスクがある。
ヨーロピアン・デジタル
産業革命以降、世界を先導してきた技術力。
米中がテクノロジーの覇権を争うようになった今日では、ITテクノロジー以外の分野に関する純粋な技術力で勝負している。
また、ヨーロッパの伝統や文化を背景にしたブランド力によって、スペック上には表れない価値を創造するという、米中とはまったく違った活路を見出した。
この方法は、SDGsの目指すところである働き甲斐や経済成長と、労働負荷や環境負荷の低減を同時に行っていく考え方と非常に親和性が高いと言える。
サードウェーブ・デジタル
2000年代以降、開発途上国で市場経済を機能させるために開発された、先進国では今まで見過ごされてきた価値を再定義した製品による、新種のイノベーション。
従来のビジネスの枠組みに囚われないチャレンジが可能で、その成果が先進国に逆流して新たな価値が世界全体に広がる可能性を大いに秘めている。