2030年の世界地図帳

第2章②教育

格差問題を解決するには

重要なカギを握るのが教育

・貧困層

貧困層の家庭に育った子どもでも、フェアな教育投資によって高等教育を受けるチャンスが得られれば、格差はシャッフルされ、世代を超えて継承されにくくなる。

・女性

女性の教育機会を向上されることも、シングルマザーの経済力の向上に寄与するだろう。

・高齢者

高齢者の貧困対策としても、加齢とともに体力や能力の衰えによって低下する潜在性を、生涯学習やカレント教育による学びなおしで、回復させることが有効になるかもしれない。

※教育が全ての解決方法となるかはわからない

日本の現状

日本の教育レベルは世界的に見ても高い。

ただし、大学進学など私費負担の割合が高い高等教育においては、貧富の格差が明瞭に表れており、都市や地方、男女間でも機会均等が保障されているとは言い難い。

インターネット教育

最近では、金銭的敷居の低いインターネット学習サービスが普及してきており、モチベーションと見つける力があれば、誰でも質の高い教育を受けられるようになったので、金銭的・地理的・性別的格差の解消が期待されている。

サービス一例
MOOC(大規模公開オンライン講座)
JMOOC,gacco(国内の大学教員や著名人によるオンライン講座)
スタディサプリ(小学校から高校までの学習を講義形式でスマホアプリから提供)

読後の感想

この教育の節は、貧困に比べ随分と内容が薄い。

著者は本当に教育で貧困を解決できるか分からない状態で書いたのかと思わせる。

勿論、教育は必要だと思う。それは学校教育だけでなく家庭教育や社会教育についてもそうで、質の高い教育というのは、同じような人が集まって一定の範囲内の決まった教育ではなく、個人が学びたいと思う方向に突き抜けられるよう3つの教育のいずれか、もしくは複数がその人を導くことだと思う。

そして、今社会教育だけが随分先行しているというのが今回の内容だ。

逆説的に、それは学校教育と家庭教育が旧態依然としていることを意味し、日本の学校は大学ですら高等教育を行っているとは言い難い。家庭教育についても、貧困家庭では教育について深く考える時間や労力、金銭に余裕がなく、学校に丸投げしているということも耳にする。

社会についても、近代以前の村社会から都市社会への移行で、人々の地域的つながりは弱くなっていたが、インターネットの普及で地域の垣根を超えた交流が盛んになっている。インターネット学習サービスもここからきているのだろう。

この教育の格差が是正されるのは大変喜ばしいことだが、その先に待つのは明るい未来だろうか。教育は社会で生き抜くための手段を知ることだ。

だが、それをどう使うかは個人にゆだねられている。

つまり、能力によって格差が生まれる時代が来るのではないかと思う。

無論、これまでも能力による格差は生じていた。しかし、これまではそれをオブラートに包む余地があった。特に現代では環境がとか教育がとか性別がとか、社会的不公平が能力の必要性を有耶無耶にしていた。

それが無くなったとき、個人を尊重することが真の意味でできなくなるような気がしてならない。