貯めるばかりが人生じゃない
今の若者は、私も含めお金のことを気にしている。
この30年、日本の労働者の賃金は上がらず、その前半は職を失うと元の地位に復帰するのが難しくなり、そもそもずっとその日暮らしという人もいた。
現在はむしろ転職が当たり前になり、新卒で入った会社を3年以内で辞める人が3割いるという。労働人口が減少傾向にある今、それは当たり前なのだが、労働力の移動が活発になっている今も、賃金の上昇は大して進んでいない。
そんな有様を見て、私は将来のお金について酷く不安になっていた。
もっと節約しなければならない。もっと稼ぐ力をつけなければならない。
そう考えた結果、なんとか小銭を蓄えることができたが、この本はそんな過ごし方を一蹴して、もっとお金を経験に使えと言う。
働きすぎて遊びを知らないアリにはなるな、と。
経験を積みたいなら若い時
多くの人は、若い時はお金が少ないが経験で経るものも多い。
一方で、老いた時はお金を多く持っているが、経験で経られるものは少ない。もしかしたら、経験すること自体ができなくなっているかもしれない。
だから、若い時はお金を貯めることはあまり気にせず、価値あることに金を使えというわけだ。
この本の作者はアメリカ人なので、将来的に年収は今よりも増える可能性が高いことも述べているため、日本は違うよと一瞬思ったが、それでも、若い時に経験しなければ将来に経験できなくなる可能性はアメリカ人並みにある。
ようは、楽しいことしないと死ぬ前に後悔するぞ、と作者は考えている。
実際、もう間もなく死にそうな人に後悔はありますか?と聞くと、返ってくる答えが「働きすぎた」とか「子供との時間を大切にすべきだった」らしい。
大切なことは今すぐする
人は先送りをすることができる生き物だが、誰も過去に戻って人生をやり直すことなどできない。
もしも、お金や仕事を理由にして大切なことややりたいことができないでいるのなら、前者よりも後者を選ぶことを、この本はオススメしてくれている。
それまで貯めることにご執心だった私だが、この本を読んで一度立ち止まって考えを改めることができた。実際に行動するにはもう少し時間が必要だと思うが、人生が有限だとその都度感じることで、有意義なことにお金を使えるようになるだろう。
でもまずは、誰かを好きになること、ですかね。