Rule The Waves3 オーハン海軍奮闘記

【Rule The Waves 3】オーハン海軍奮闘記 第3回

海軍拡張計画

スペイン戦後の方針

1894年10月、スペイン戦の後始末が終わり、Szigetvar級3隻が半年以内に竣工するなか、シュテルネックは今後の方針を考えていました。

世界では怒涛の戦艦ブーム。26隻もの戦艦が建造されています。一方、装甲巡洋艦は12隻、防護巡洋艦にいたっては先の戦いで全てサヨナラしたスペインの1隻のみです。

各国とも墺西戦争の教訓から学んでいるようです。

確かに速射砲は強いが、戦艦の防御力は健在であり巡洋艦にとっては相当の脅威となる。

であるならば、大砲はそこそこに速射砲を大量に搭載し、防御力のある戦艦を作れば良い。

大艦主義こそがこの時代の正解ということです。

今後の方針会議の際、シュテルネックはこう述べています。

「スペイン戦で多額の賠償金を得たが、我が海軍の懐は依然として小さい。小さい壺に入れられる量には限りがある。巡洋艦という砂を敷き詰めるのも良いが、それでは戦艦という石が入らなくなってしまう。今は戦艦をつくる時だ」

壺の中を物でいっぱいにしようと思ったら、まずは大きな石を入れ次に小石。最後にその隙間に砂を滑り込ませるものです。逆に砂を先に入れてしまえば、大きな石を入れる隙間が無くなってしまいます。

すなわち、戦艦は建造するにも動かすにも多大なコストがかかりますが、それを甘受して必要な数を先に建造し、次に大きい装甲巡洋艦を整備して、それでも隙間があれば補助艦艇。この順番で自分の手元にあるツボの中をぎっしりと埋めようということです。

六六六艦隊整備計画

次に、シュテルネックは仮想敵国を定めました。

スペインを倒した今、次回相手すべきはイタリアかフランスです。

現在、地中海の覇権はこの2国が握っており、オーハンやスペインはモブキャラです。先の戦争はモブキャラの序列を決めるものであったに過ぎません。

第一目標の出アドリア海、第二目標の地中海制覇を成すには、この2国を打ち破る必要があります。そのための艦隊整備を始めなければなりません。

そこでシュテルネックが打ち出したのが六六六艦隊整備計画です。

これは、新鋭の戦艦6隻・装甲巡洋艦6隻・防護巡洋艦6隻を整備するというものです。2国の戦力を見ると、だいたい戦艦が10数隻・装甲巡洋艦は9隻です。戦争をするにはどんなに少なくても敵の半分の戦力が欲しいので、6隻あればそれがかないます。

我が海軍の現状を見ると、防護巡洋艦はもうすぐ整備が完了しますし、装甲巡洋艦は有力な3隻が既にあります。しかし、戦艦は古ぼけた装甲艦しかなく、9000トン級の2隻が頼りになるかも?というあやふやな戦力しかありません。

なので、戦艦6隻については今から急いで整備しなければなりません。

しかし、ここで大きな問題があります。

我が国のドックサイズは13500トンしかないほか、11インチ砲までしか開発できていません。

イタリアの戦艦を見てみると、13000トンを超える戦艦に12インチ砲を2基4門、6インチ砲を10門搭載しています。速力も19ノットを発揮し、我が国の造船能力では、この艦を上回る戦艦の建造は不可能です。

そのため、イギリスに新型戦艦を発注します。

戦争終結後は、みんな過去の恨みをきれいさっぱり忘れるので緊張度が下がっています。そう、建造期間の長い戦艦を発注するなら今です。

艦名Radetzky(初代)級戦艦
排水量14500トン
武装12インチ砲2基4門、6インチ砲12門
速力19ノット
装甲ベルト装甲10インチ
建造数3隻

Radetzky級は走攻守3拍子揃った最新鋭戦艦です。その代償として、航続距離が短いほか乾舷も低いですし居住設備も劣悪です。やばい方の3拍子も揃ってしまっていますが、乗組員の上陸を頻繁に許可しますし、波がおだやかで狭い地中海での使用が前提なので、まあ問題ないですね。()

ラデツキーの建造開始から3年後の1897年3月。

将校の1人が軍需企業と密かに測距儀の開発をしていたため会社ごと買収。すると12インチ砲を国内で製造できるようになりました。

Radetzkyの建造も同月に終わりましたし、国内のドッグサイズも14500トンまで大きくなっているので、改Radetzky級戦艦の建造を国内で行います。

艦名Erzherzog Ferdinand Max級戦艦
排水量14100トン
武装12インチ砲2基4門、6インチ砲12門
速力19ノット
装甲ベルト装甲10インチ
建造数3隻

技術進歩により少しコンパクトになった以外はRadetzky級と変わりません。

これも3隻建造して戦艦6隻の建造を完了とします。

しかし、それから間もなくしてシュテルネックが死去。

六六六艦隊計画の発起人を亡くしたことで計画の存続が一時危ぶまれましたが、スペイン戦での海軍の活躍が議会で評価され、計画の完了まで無事推し進められることとなりました。

1899年6月、オーハン海軍にいい知らせが舞い込んできました。

なんとドイツが世界に先駆けて11インチ砲品質-1の開発を完了したとのことです。

予算の都合上コンパクトな艦に大砲を乗せたいと考えていた海軍首脳部は、待ってましたと言わんばかりに、ドイツに装甲巡洋艦の設計を依頼しました。

艦名Adria級装甲巡洋艦
排水量12000トン
武装11インチ砲2基4門、5インチ砲12門
速力22ノット
建造数3隻

基本、11インチ砲は戦艦が乗せるものですが、このゲームの使用上、12000トン以下で11インチ砲を搭載している艦は巡洋艦として扱われます。

史実でも、ポケット戦艦と評されたドイチュラント級が11インチ砲を搭載しているにもかかわらず重巡洋艦に類別されていましたから、それが反映されているのかもしれません。

兎に角、この火力があれば装甲巡洋艦以下に対して圧倒的優位に戦えますし、戦艦に対しても痛打を与えることが可能です。もし不利になってもその速力で逃げることができます。そういう意味では、この世界における巡洋戦艦のはしりなのかもしれません。

これを3隻建造すれば、構想からはや5年が経とうとしている六六六艦隊整備計画は完遂です。(Adria級3番艦の竣工は1902年1月ですので、厳密には7年かかりました。)

戦争が起こるかどうかは外交次第ですが、近代化を始めてから10年にして、オーハン海軍はアドリア海の田舎艦隊から脱し、列強とまともにやり合える艦隊を持ったのでした。

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