無謀とも思える英仏戦への道
イタリアとの短期決戦を終わらせた1923年7月から再開です。
イタリアからリビアを獲得したことにより、オーハンは名実ともに地中海進出を果たしました。それまでサルディーニャを領有してはいましたが、航路上にオトラント海峡とシチリア海峡があるため実用性が乏しいほか泊地としての機能に乏しく、即応の防衛艦以外は依然としてアドリア海に停泊していました。
しかしながら、アドリア海とサルディーニャを結ぶ位置に植民地を手にしたことで、地中海におけるオーハン海軍の作戦行動力は格段に高まり、地中海に有効な戦力を配置可能となりました。
それでも、マルタ島を領有するイギリス、サルディーニャを囲むフランスはオーハン海軍に十分な圧力をかけることができます。加えて、英仏両国は独墺同盟に対抗して同盟を結んでおり、シチリア海峡を封鎖することで容易にサルディーニャを孤立させられます。
同盟国ドイツと英仏の関係は良好ではありません。史実でもドイツと英仏は敵対関係にあり、それはこの世界線でもあまり変わりません。ということは、近い将来英仏との戦争は避けられないということです。
イタリア戦後の各国艦艇リストを見ると、フランスはオーハン海軍にわずかに勝り、イギリスは実に2倍の海軍を持っています。
独墺と英仏の戦艦数比は21:31であり、一見圧倒的不利には見えないかもしれませんが、独墺は容易に北欧と地中海を行き来できません。一方、ジブラルタル海峡の制海権を握る英仏は割と自由に出入りが可能で、1つの戦線に対して敵に倍する戦力を用意することができます。
つまり、独墺は同盟関係でもほぼ単独で英仏を相手せざるを得ないのです。
先日まで戦っていたイタリアは史実でも話題に上がるほどの活躍の無さですが、英仏、特にイギリスは違います。なにしろ世界に覇を唱えるロイヤルネイビーです。戦争となれば士気と練度の高い大艦隊を送ってきます。
史実の一次大戦と同様の帰結にならないよう、海軍を強化していきましょう。
空母戦力の拡充
前回のイタリア戦では航空機を投入しての3次元海戦が度々発生し、その実用性が示されました。
オーハン海軍は空母戦力に注目し、安価で効果的な空母部隊の増設に乗り出しました。
まずは、巡洋戦艦Steiemarkの空母化です。足が速く使い勝手の良い艦ですが、これからの12インチ砲は明らかに火力不足です。装甲も薄く戦艦としての寿命はすぐそこまで来ていると判断し、艦載機42機搭載可能な空母に改装しました。速力はそのまま28ノットです。
これで空母は4隻となりましたが、他3隻は25ノット以下で、ともに行動するには速力差があります。
しかし問題ではありません。28ノットの空母を建造すればいいんです。
1925年1月、オーハン海軍は16,000トンの仮装巡洋艦を建造しました。1925年1月からは、それまで21ノットまででし作れなかった仮装巡洋艦が、戦間期なら2隻まで25ノットで建造することができます。
規制値いっぱいの2隻建造し、これを空母に改装しました。
これで、低コストで新たに空母3隻をそろえることができました。
また、大型巡洋艦戦力がすっかり旧式化してしまいました。1923年に11インチ砲品質0を開発したので、重巡洋艦を建造しました。
艦名 | Margburg級重巡洋艦 |
---|---|
排水量 | 12000トン |
武装 | 11インチ砲3基6門、5インチ両用砲6基12門 |
速力 | 29ノット |
建造数 | 3隻 |
8インチのオートローダーができればそちらの方が強いのでしょうが、今はまだ1920年代です。大砲こそが正義。八面六臂の活躍だったAdria級同様、巡洋艦戦や戦艦・空母の随伴もできる万能艦として高い要求性能を満たす艦に仕上げます。ドイチュラント級装甲艦よろしくイギリス海軍を翻弄してほしいです。
そして、現行の駆逐艦が旧式化してしまったので、機銃を搭載して航空戦に対応した駆逐艦を建造します。
艦名 | Drache級駆逐艦 |
---|---|
排水量 | 2000トン |
武装 | 5インチ連装砲4基8門、水上魚雷発射管2基8門 |
速力 | 34ノット |
建造数 | 25隻 |
6年間新造艦の無かった駆逐艦の次期主力艦です。砲を4インチ両用砲に変更した準同型艦を含め25隻建造しました。史実ならトップヘビーと言われる重武装艦ですが、速力が遅めなので大丈夫です。
個人的に2000トン級はきれいにまとまった性能となるので非常に使い勝手が良いのですが、その分損耗も激しく、その後いくつかの戦争で25隻中22隻が戦没してしまいました。
補助艦を建造したら戦艦です。
艦名 | Habsburg級戦艦 |
---|---|
排水量 | 4万トン |
武装 | 16インチ連装砲5基10門、5インチ連装砲10基20門 |
速力 | 25ノット |
建造数 | 2隻 |
【イギリス海軍戦艦詳細】 【フランス海軍戦艦詳細】
英仏の戦艦の情報を見てみると、主力は14インチ砲を搭載しています。同数の戦艦を揃えるのはどだい無理な話ですから、敵戦艦よりも強力な主砲と防御力を備えた戦艦を建造しなければなりません。
そこで16インチ砲を10門搭載したHabsburg級戦艦を設計しました。これを2隻建造し、既に就役している16インチ砲戦艦3隻と戦隊を組めば、16インチ砲40門の圧倒的な火力をお見舞いすることができます。
1戦隊のみでは不十分ですが、オーハンの経済力はまだフランスに及んでいません。フランス以上の艦隊を構築しようと建艦競争を起こしても、負けるのはオーハンです。強い国家をつくるためには、無理な建艦競争を避ける必要があります。
そのために少数でも必ず打ち勝つ艦船を建造し、建造費を極力抑えてきました。これが近代化化以来オーハン海軍が首尾一貫持ち続けている思想であり、それはこの時代にも変わっていないということです。
外交危機はカイザーから
1927年4月、カイザーが失言しました。フランスのことを批判して注意をそらします。オーハンの行動を警戒したためか、英仏同盟が延長されました。
現在の各国関係図です。ドイツはイギリスとの関係が悪化しているのに加え、アメリカとの関係も悪化しています。
実は1年前の1926年4月にドイツにファシスト政権が誕生しました。どうやら、ファシストと民主主義が対立するのはこの世界でも同様のようです。
1927年10月、ドイツと英米の緊張度の高まりを受けて政府がアドバイスを求めてきました。平和を望むなら金を出せと言っておきます。
1927年12月、機関が老朽化したLissa級巡洋戦艦を改装します。
機関の出力強化で30ノットの大台に到達しました。改装も史実の金剛みたいになりましたね。速力こそ正義!これでまたしばらく使えます。
1928年8月、まずドイツとイギリスが戦端を開くかと思いましたが、独仏間の緊張度が開戦直前までに高まりました。
一応ドイツを支持しますが、Lissa級を改装に送ってしまいましたし艦隊の準備もできていません。即開戦になったとしても、しばらくは様子見をせざるを得ません。
予算も苦しいですが、1機も航空機を配備していませんでしたので、各空母・飛行場に航空機を配備します。ダメコン訓練も開始。
更に、インド洋にある植民地防衛のため、Adria装甲巡3隻と護衛の駆逐艦で艦隊を編成しインド洋に派遣しました。
1928年10月、ドイツに続きイタリアがファシ化しました。隣国のファシ化は面倒くさいことになりそうです。
1928年11月、独仏関係が一触即発の状況の中、ドイツの総統が好戦的な演説を行いました。どうやらドイツは戦争をしたいようです。
1928年12月、独仏が開戦しました。翌年1月、ドイツが同盟に基づき参戦するよう要請してきましたが、独仏開戦後に艦隊を動員するつもりだったので多くの艦がモスボール中です。行動可能になるまで開戦は待ちます。
1929年2月、オーハンが参戦を渋る一方、イギリスはフランスとの同盟に基づきドイツに宣戦布告。ごめんよドイツ君。金が…金が無いんじゃ…。
翌月、フランスが台湾占領を企図したため圧力をかけたところ、イエローラインから一気に天元突破。
あ、これはマズイやつだぁ…。
1929年3月、オーハンは再三にわたるドイツからの参戦要求を拒否。ハーグでの会議でも大人しくしていましたが、遂にフランスに宣戦を布告されました。
幸い、イギリスが合わせて宣戦布告することはありませんでしたが、それも時間の問題でしょう。
これまでの戦争と異なり、オーハン海軍は明らかに準備不足です。戦争準備には少なくとも1年欲しいですが、今回は艦艇動員からわずか4か月で配備が全く間に合っていません。(イギリスが来るまでには間に合ってくれ)
相手は強大な英仏連合軍。果たして、独墺連合は勝つことができるのでしょうか。
次回に続きます。